こんにちは、イシカワです。
この記事では、名古屋市消防局の論作文(作文・小論文)について、直近の過去問・出題傾向・試験当日までの対策方法をまとめています。名古屋市消防局の消防官を目指す方が、何をどの順で準備すればいいか、分かりやすく整理しました。
この記事でわかること
- 名古屋市消防局の論作文の試験条件(試験時間・文字数・問題形式など)
- 直近の過去問(第1類は直近2年の春・夏全回、第2類は直近3年)
- 過去問から読み取れる出題傾向
- 採点で見られやすい評定ポイント
- 当日までの準備の手順と、よくある質問への回答
名古屋市消防局の論作文の試験条件
名古屋市消防局の論作文は、採用区分ごとに形式が分かれます。第1類(大学卒業程度)は論文、第2類(高校卒業程度)は作文で、いずれも試験時間は60分でした。
| 採用区分 | 問題形式 | 試験時間 | 文字数 |
|---|---|---|---|
| 第1類(大学卒業程度) | 論文 | 60分 | 字数制限なし(用紙1枚両面・目安800字程度) |
| 第2類(高校卒業程度) | 作文 | 60分 | 字数制限なし(用紙1枚両面・目安800字程度) |
両区分とも試験時間は60分で、用紙1枚両面におさまる分量が目安です。字数制限が明示されないぶん、書く量を自分で設計する力が問われます。ここからは区分ごとに、過去問と出題傾向を見ていきましょう。
なお、実際の試験時間・字数・区分名等の試験条件は、年度ごとに変わることがあります。本試験前には必ず、最新の公式情報(募集要項・採用案内等)を確認してください。
名古屋市消防局・第1類(論文)の過去問と出題傾向
名古屋市消防局・第1類(論文)の過去問
第1類の論文は、ひとことで言うと「市政の方針・社会課題を、現状と課題から論じる」形式です。第1類は春・夏の年2回実施があるため、直近2年の各回をすべて掲載します。
2025年(令和7年)春実施試験
名古屋市シティプロモーション基本方針では「各分野の施策の充実に加え、都市の総合的なプロモーション力強化を図ることにより、市内外における本市の施策や魅力の浸透ひいては市民の愛着醸成(シビックプライド)や名古屋ブランドを確立すること」を目標に掲げています。
人や企業から「住みたい」「働きたい」「訪れたい」「投資したい」都市として選ばれ、名古屋の持続的な発展・成長を実現するために、本市はどのような施策に取り組み、それをどのように浸透させるかについて、本市の現状と課題を論じたうえで、具体的に述べてください。
2025年(令和7年)夏実施試験
少子化・高齢化、グローバル化に伴う国際的な交流の増加、情報化等を背景に、人々の価値観や社会の多様性・複雑性は増しています。
行政サービスの提供にあたっては、利用者の立場に立ったサービス提供が必要であることから、職員には、行政サービスを受ける市民等の一人ひとりが異なる価値観を持ち、異なる背景を持っていることを常に意識しながら、多様性(ダイバーシティ)を尊重し、包摂(インクルージョン)する姿勢が求められます。
以上を踏まえて、本市職員としてどのように業務に取り組んでいくべきか、本市を取り巻く現状と課題を論じたうえで、具体的に述べてください。
2024年(令和6年)春実施試験
本市が策定した名古屋市役所DX推進方針では「デジタルの活用を前提にあらゆる市民サービスや市役所の業務を「変革」し、」「市民一人ひとりにより適した市民サービスを目指す」と掲げています。誰もが安心・安全にデジタル技術を活用でき、誰一人取り残されない、デジタル社会を実現するために、本市はどのような施策に取り組むべきか。本市の現状と課題について論じたうえで、それを解決するための施策を具体的に述べてください。
2024年(令和6年)夏実施試験
名古屋市次期総合計画中間案ではめざす都市像(2040年頃の名古屋の姿)として以下の5つが挙げられています。5つの都市像のうち1つを選び、それに関する現状と課題を挙げたうえで、本市はどのような施策に取り組むべきか、あなたの考えを述べてください。
<めざす都市像>
1. 人権が尊重され、誰もがいきいきと暮らし、活躍できる都市
2. 安心して子育てができ、子どもや若者が豊かに育つ都市
3. 人が支え合い、災害に強く安心・安全に暮らせる都市
4. 快適な都市環境と自然が調和した都市
5. 魅力と活力にあふれ、世界から人や企業をひきつける、開かれた都市
(出典:名古屋市消防局)
名古屋市消防局・第1類(論文)の出題傾向
過去問から読み取れる傾向は、主に2つです。
傾向1:名古屋市の施策・方針と直結している
シティプロモーション、DX推進、ダイバーシティ・インクルージョン、総合計画の都市像。第1類のテーマは、名古屋市が現に取り組んでいる施策に根差しています。市の方針を知らないと抽象論で終わりがちです。逆に言えば、市が何を目指しているかを下調べしておくだけで、答案の具体性は格段に上がります。
傾向2:「現状と課題」を論じたうえで「具体的な施策」まで書かせる
ほぼ毎回、「本市の現状と課題を論じたうえで、具体的に述べてください」という指定が入ります。つまり、社会問題の評論で終わる答案は、設問に答えたことになりません。現状認識→課題の特定→具体策という論の順序を組み立てられるかが問われます。
なお、イシカワ塾では、このような名古屋市消防局・第1類の出題傾向に合わせた「予想テーマ模範解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
名古屋市消防局・第2類(作文)の過去問と傾向
名古屋市消防局・第2類(作文)の過去問
第2類の作文は、第1類とは対照的に「集団活動での体験から、自分の強みや学びを書く」形式です。骨格がほぼ固定されているのが特徴です。
2025年(令和7年)
あなたはこれまでに、学校(クラスや部活動・サークル)や職場、ボランティア等の集団において、多くの人と一緒に活動をしてきたことと思います。そういった活動の中で、あなたが友人や同僚と力を合わせて取り組み、最も達成感を得た出来事を10行程度で一つ挙げたうえで、
・活動がうまくいくように、自ら工夫したこと
・その経験から学んだこと
の2点について具体的に述べてください。
2024年(令和6年)
あなたはこれまでに、学校(クラスや部活動・サークル)や職場、ボランティア等の集団において、多くの人と一緒に活動をしてきたことと思います。そういった活動の中で、あなたが友人や同僚と力を合わせて取り組み、最も達成感を得た出来事を10行程度で一つ挙げたうえで、
・活動がうまくいくように、自ら工夫したこと
・その経験から得たことや学んだこと
の2点について具体的に述べてください。
2023年(令和5年)
あなたはこれまでに、学校(クラスや部活動・サークル)や職場、ボランティア等の集団において、多くの人と一緒に活動をしてきたことと思います。そういった活動の中で、あなたが友人や同僚と力を合わせて取り組み、最も達成感を得た出来事を10行程度で一つ挙げたうえで、
・活動がうまくいくように、自ら工夫したこと
・その経験から得たことや学んだこと
の2点について具体的に述べてください。
(出典:名古屋市消防局)
名古屋市消防局・第2類(作文)の出題傾向
第2類の出題傾向はきわめてハッキリしており、「学校・職場・ボランティア等での集団活動の中で、最も達成感を得た出来事」という骨格が3年連続で続いています。問い方の細部(「工夫したこと」「学んだこと」「得たことや学んだこと」)は年度で微妙に変わりますが、骨格は安定しています。
だからこそ、具体的なエピソードを一つ、いまから決めておくことが有効です。集団の中で力を合わせて達成した経験と、そこで自ら工夫したこと・学んだことを、セットで書けるように準備しておきましょう。準備すれば確実に書ける枠です。
なお、イシカワ塾では、このような名古屋市消防局・第2類の出題傾向に合わせた「予想テーマ模範解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
採点でどこを見られるか(第1類・第2類共通)
採点者が見ているのは、文章の上手さよりも「この人と一緒に働けるか」だと考えてください。
消防官の採用試験は、文章力を競う試験ではなく、一緒に働く仲間を選ぶ試験です。もちろん、作文・論文として基本的なルールを守ることは大前提ですが、それ以上に、「問われたテーマに正面から向き合っているか」「自分なりに最後まで答えを出しているか」が特に重視されます。
特に名古屋市消防局の論作文試験の場合、次のポイントに注意しましょう。
- 設問にまっすぐ答えているか。第1類なら「現状と課題→具体策」まで、第2類なら「工夫・学び」まで書けているか。
- 体験や施策が具体的か。「協力が大切だ」で終わらず、いつ・何を・どうしたかまで書けているか。
- 字数制限がないぶん、最後まで用紙を使い切る粘りがあるか。途中で息切れした答案は印象に残りません。
名古屋市消防局が掲げる運営の重点
名古屋市消防局は、組織理念として「名古屋市消防局フィロソフィー」を掲げています。その中核となる「使命」は、次の一文です。
いつの時代もすべての市民に安心安全を提供する組織であり続けることが我々の使命です
あわせて、名古屋市消防局は10年先を見据えた「名古屋消防10年戦略」を展開しており、2つの「戦略の柱」を掲げています。
- 戦略の柱(一つ目):南海トラフ地震対策(南海トラフ地震は必ず起こるという考えに立ち、地域防災力・災害対応力の向上を図る)
- 戦略の柱(二つ目):令和時代の消防施策(DX活用・定年延長・女性活躍推進など、時代の変化への対応と名古屋消防の抜本的強化)
この2本柱は、第1類の過去問と見事に対応しています。2024年夏の設問で選択肢に挙げられた都市像の一つ「人が支え合い、災害に強く安心・安全に暮らせる都市」は戦略の柱「南海トラフ地震対策」と、2024年春の「DX推進」は戦略の柱「令和時代の消防施策」と、それぞれ地続きです。名古屋消防がいま現実に力を入れている方向が、そのまま設問になっているということです。
10年戦略は年度ごとに事業戦略が作成され、施策は毎年度更新されます。受験前に、必ず最新版を確認しておきましょう。
(出典:名古屋市消防局フィロソフィー/総務省消防庁「消防の動き」令和7年5月号 名古屋市消防局長巻頭言「名古屋消防10年戦略」)
答案で使える名古屋市の事実
傾向で見たテーマに沿って、答案の説得力を上げる市の公表データを3つだけ紹介します。丸暗記ではなく、序論で現状や課題を示す材料として使ってください。
- 市の被害想定(平成26年公表)では、南海トラフの最大クラスの地震(冬・深夜)で死者は対策前で約6,700人、建物全壊・焼失は最大約66,000棟と想定されている。→ 「災害に強く安心・安全に暮らせる都市」テーマの序論で、備えが必要な理由を示す材料に。
- 令和7年国勢調査(速報値)で名古屋市の人口は2,345,892人と過去最多。前年比の転入超過(社会増)は約2万人で、15年連続して人が集まっている。→ 「住みたい・働きたい・訪れたい都市」シティプロモーションのテーマで、選ばれている実態と、それをどう持続させるかの導入に。
- 一方で、市の自然増減は約1万2千人の自然減(13年連続で過去最大)で、市の総合計画は今後の人口減少局面入りを想定している。→ DXや多様性・持続可能性のテーマで、担い手不足や行政サービスの効率化を説明する背景に。
なお、数値は公表時点のもので、年度によって更新されます。答案で使うときは「約」を付けた概数で十分です。
(出典:名古屋市公表資料[国勢調査速報値・人口動向調査・南海トラフ被害想定・総合計画2028等])
なお、イシカワ塾では、全国の消防本部の論作文課題や重点を分析し、最も出題可能性の高いテーマだけを集めた「予想テーマ解答例セット」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
試験当日までの対策ガイド
やることは至ってシンプルです。
- 良質な解答例を読む
- 自分で書いてみる
これだけに集中しましょう。
闇雲に、自分の力だけで論作文対策を乗り切ろうとするのは、あまりに無謀です。もちろん、独学での努力を否定するわけではありませんが、論作文試験の先には面接なども控えていますので、ここは出来る限り効率化し、他の試験対策に投資できる時間を増やしましょう。
試験当日までのオススメの過ごし方は以下の通りです。
- 「消防士の作文・小論文の書き方ガイド」などを参考にしつつ、解答例を読み、論作文の基本の型を身につけましょう。結論・理由・具体・まとめの骨格をまず固めます。
- 第1類は「現状と課題+具体策」、第2類は「集団活動の体験+工夫+学び」で書く準備をしましょう。自分の区分に合わせて、書くネタの引き出しを作っておいてください。
- 身につけた型に、名古屋市の重要テーマを当てはめます。第1類は「シティプロモーション」「多様性」「DX推進」「総合計画の都市像(防災を含む)」などのテーマで、第2類は集団活動の鉄板エピソードで、実際に手を動かして答案を作る練習をします。当塾の「過去問解答例」や「予想テーマ解答例セット」を活用するのもオススメです。
- 最初はじっくり書いても構いませんが、試験本番の2週間前くらいまでには、60分・用紙1枚両面を本番どおりに測って書く練習を始めましょう。時間配分を体に覚えさせます。
- 書いた答案を、設問とつき合わせて見直しましょう。設問で問われていることにしっかり答えているか、主語が自分になっているか、チェックしましょう。
なお、できれば仕上げの段階で意識してほしいのが、面接対策との一貫性です。論作文試験で書いた志望理由や経験は、面接でも問われる可能性があります。両者で言うことがブレないように、自分の軸を一本にしておくのが望ましいです。論作文は面接の下書きでもあります。
よくある質問(FAQ)
受験生からよく受ける質問に答えます。準備の手が止まりがちな点を中心にまとめました。
名古屋市消防局の論作文は何分・何字ですか。
第1類・第2類ともに試験時間は60分で、字数制限は明示されず用紙1枚両面(目安800字程度)が分量の目安です。年度で変わる可能性があるので、受験の際は必ず最新の募集要項を確認してください。
第1類と第2類で、対策は変えるべきですか。
はい。第1類は「論文」で市政の方針・社会課題が問われ、第2類は「作文」で集団活動の体験が問われます。受ける区分の過去問を軸に準備するのが近道です。
字数制限がないと、どれくらい書けばいいですか。
用紙1枚両面、目安は800字程度です。少なすぎると熱意が伝わりません。最後まで書き切ることを意識してください。分量も年度で変わり得るので、公式の指示を確認しましょう。
第2類の作文テーマは毎年同じですか。
直近3年は「集団活動で最も達成感を得た出来事」という骨格がほぼ一致しています。問い方の細部(工夫・学び 等)は年度で少しずつ異なります。鉄板のエピソードを一つ準備しつつ、異なる切り口でも書けるようにしておくと安心です。
名古屋市の施策は、どこまで覚えればいいですか。
細かい数字の暗記より、「市が何を目指しているか」の方向性をつかむことが先です。第1類は、その方向性と自分の考えを結びつけられれば形になります。最新情報は公式で確認してください。
この記事の掲載分より前の過去問は、どこで見られますか。
消防の作文は年度ごとにしか公表されにくく、まとまった形では入手が難しいのが実情です。とくに第1類は毎年テーマが変わるため、幅広く触れておくと本番で動じにくくなります。当塾の「過去問・予想テーマ模範解答例」を活用するのもオススメです。
まとめ
最後に要点を整理します。
- 名古屋市消防局の論作文は、第1類が論文、第2類が作文、いずれも60分。第1類は市政の方針・社会課題、第2類は集団活動の体験が問われる傾向でした。
- 第1類のテーマ(シティプロモーション・DX等)は、名古屋消防10年戦略の2本柱とつながっています。第2類の出題骨格は3年連続で安定しています。
- 準備は、解答例を読む → 自分で書いてみるの順番で進めるのが最短ルートです。
なお、ひとりでの対策に不安がある方、手応えがなかった方、仕事や部活などで時間がない方には、第1類・第2類それぞれの採用区分に合わせて、独学での合格をサポートするテキストもご用意しています。必要に応じてご活用ください。
あなたが最終合格し、名古屋市消防局の消防官として活躍されることを心から願っております。イシカワでした。
POLICE / FIRE EXAM