警察官採用試験

警察官採用試験|論文試験の模範解答例まとめ

こんにちは、イシカワです。

今回は、警察官採用試験の作文・小論文試験の模範解答例を紹介します。

一見すると対策が難しい作文・小論文試験ですが、良質な解答例を読み、完成形のイメージを掴むことで、攻略の道筋が見えてきます

また、あすに受験を控えるような方であっても、ここで解答例を読んでおくか否かで、試験の結果が大きく変わる可能性があります

本記事の解答例が、受験を控える皆さんの一助となれば幸いです。

・解答例の執筆にあたり、元警視庁警察官の監修を受けております。内容の信頼性は保証いたしますので、安心して参考になさってください。
・以下の解答例は、当塾著作の模範解答ライブラリの一部です。個人学習以外での使用・無断頒布・転載等はご遠慮ください

警視庁1類 令和2年度 小論文試験

努力して困難に打ち勝った経験と、そこから得たことをどのように警察官として活かしていきたいか述べなさい。

模範解答例

 私の人生において、最も大きな困難に直面したのは大学時代の部活動である。

 大学一年生の春、私はアメリカン・フットボール部に入部した。未経験者としての入部であったが、カラフルな防具に身を包み、猛々しいプレーを繰り広げるアメリカン・フットボールのプレイスタイルに憧れていたことから、誰よりも早く入部届を提出した。しかし、その後の選手としての成長はとても険しいものだった。高校でサッカー部に所属していた私は、持久力には自信があったものの、体の線が細く、アメリカン・フットボール特有の激しいコンタクトシーンには苦手意識があった。さらに私の同期生は、高校の強豪アメリカン・フットボール部からの特待生や、ラグビーや柔道の経験者が多く、彼らと日々比較され続けるのも大きなプレッシャーであった。

 この困難に直面して以降、私は日々のトレーニング内容を大きく見直した。具体的には、筋肉を大きくするウェイトトレーニングに積極的に取り組み、食事も肉中心の高タンパク質メニューに切り替えた。持久力は同期の中で一番秀でていたことから、あとは身体を大きくし、激しいプレーに耐えられる土台を作るべきと考えたのだ。そしてこの取り組みが功を奏し、二年次のリーグ戦では念願のスターティングメンバー入りを果たすことができた。
この経験から私が学んだのは、「いかなる困難も、状況を冷静に分析し、対策を立てることで乗り越えることができる」ということである。そして私はこの教訓を、警察官として活かしたいと考えている。

 たとえば、私は将来、犯罪抑止対策本部で働きたいと考えているが、ここで取り組まれている特殊犯罪対策は、一筋縄では奏効しない事案が多いと聞く。情報技術の発達に伴い、犯罪の手口が複雑化・巧妙化しているからだ。犯罪を社会から根絶するためには、常に犯行グループの動向を分析し、実効性の高い対策を講じなければならない。至極地道でひたむきな職務だと思うが、このような仕事において、私の経験は役立つだろう。

 どんなに大きな困難に直面しても、物事の状況や因果関係を冷静に分析すれば、必ず事態を打開するための糸口が見つかる。大学時代の経験は、私にそのことを教えてくれた。これまで培った教訓を活かしながら、警視庁警察官として職務に邁進していく所存である。(946字)

警視庁3類 令和元年度試験

理想とする警察官になるために努力したいことと、警察官の仕事に活かせるあなたの「強み」について述べなさい。

模範解答例

 まず、理想とする警察官になるために努力したいことは、常に地域住民の視点を意識しながら職務を遂行していくことである。なぜなら、私が考える理想の警察官とは、地域住民の心に寄り添い、その笑顔をそばで支えられる警察官だからである。特に、新人警察官が最初に配置される地域課業務において、この意識を大切にしていきたい。地域の治安維持において、交番や駐在所のネットワークが果たす役割は大きく、そこで働く警察官は、住民にとって最も身近な警察官である。もちろん、警察官としての職務を果たす上で、時には厳しい態度で住民に接しなければならない場面もあるかも知れないが、基本的には住民の心に寄り添いながら、親身に要望を汲み取ることを心がけていきたい。

 次に、警察官の仕事に活かせる私の「強み」は、頑強な心身と行動力である。私は中学と高校の◯年間、◯◯部に所属し、日々厳しい練習に励んできた。時には思い通りの成果が出せず、困難に直面した時期もあったが、その度に自らを奮い立たせ、新しい練習方法やトレーニング方法を模索して乗り越えてきた。何事も決してあきらめない行動力と、それを支える心と身体の力強さについて、私は人一倍の自信がある。そしてこの強みを、警察官の職務でも活かしていきたいと考えている。たとえば、警視庁が管轄する東京都は、日本の首都であるのと同時に世界有数の国際都市であり、文化的に豊かな多様性を有している。住民から寄せられる行政ニーズも多種多様であることから、警視庁警察官には、その要求に応えるだけのバイタリティが求められる。そして、このような環境において、私の強みは大いに活かせるだろう。部活動で培った強みを土台に、日々の訓練や実務に励み、警察官としての成長を重ねていきたい。

 警察官の実務は、生半可な覚悟では務まらないものだと聞く。時には思い通りにならないことや、理不尽な思いをすることもあるだろう。しかし、そんな時こそ初心を忘れず、持ち前の頑強さを武器に困難を乗り越えていきたい。理想の警察官像を体現するため、全力で職務に邁進していく所存である。(867字)

最頻出テーマ・コミュニケーションの重要性

警察官採用試験における最頻出テーマのひとつ、「コミュニケーションの重要性」の模範解答例です。

他者と良好なコミュニケーションを図る上で重要なことは何か、あなたの考えを述べなさい。」という論題を想定しています。

模範解答例

 他者と良好なコミュニケーションを図る上で重要なことは、以下の二点である。

 第一に、相手の目を見て笑顔で対話することが重要である。他者とのコミュニケーションにおいては、その会話の内容だけでなく、表情や声のトーンなど、非言語的な要素も重要だからである。たとえば警察官として住民の防犯指導にあたる時、警察官が暗い表情で対応していては、住民の自発的な行動は促せない。どんな正論を述べたとしても、その警察官の態度や印象が悪ければ、住民はその情報を好意的に受け取らないからである。これは、たとえ相手が同僚や上司であっても同じである。他者と良好なコミュニケーションを図るためには、常に自分自身を客観視し、明るい表情と態度で相手と接するよう心がけねばならない。

 第二に、相手の立場に立って物事を考えることが重要である。他者とのコミュニケーションにおいては、立場による利害の違いや視点のズレなどが原因で、互いの合意を生み出せないことがあるからである。たとえば警察官は、交通事故抑止に向けた取り組みとして、街頭ドライバーに対し交通安全指導を行うことがある。このような場面において、ただ機械的に「法令に従いなさい」と指導するだけでは、相手は納得しないだろう。指導される側のドライバーには、「早く目的地に向かいたい」「できる限り車両の維持費を抑えたい」などという考えがあるからだ。相手を納得させ、自主的な安全行動を促すためには、まず警察官自らがドライバーの立場を理解し、気持ちや感情に寄り添った上で、「それでも人命が第一ですよね」と事故防止の重要性を伝えていかねばならない。一見、遠回りな行動に思えるかも知れないが、こうした地道な配慮の積み重ねが、他者との良好なコミュニケーションの土台となり、強い信頼関係の構築につながるのである。

 多様な価値観が共存する現代社会においては、人々が積極的にコミュニケーションを重ね、考え方の違いやその原因を互いに理解し、協働しながら社会を発展させていかねばならない。ゆえに私も、その一員として、いかなる時も他者とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係の構築に努めていく。(897字)

おわりに

いかがでしたでしょうか。

他記事でも述べていますが、作文・小論文対策の基本は、

  • 良質な解答例を読む
  • 自分で書いてみる

この繰り返しです。

本記事の解答例を参考に、演習を繰り返し、自身の論文スキルに磨きをかけてください。

なお、警察と消防を併願受験する方は、下記の記事で消防官採用試験の論文解答例をまとめていますので、あわせてどうぞ。

消防官採用試験 消防関係

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