こんにちは、イシカワです。
この記事では、神戸市消防局の論作文(作文・小論文)について、直近3年の過去問・出題傾向・試験当日までの対策方法をまとめています。神戸市消防局の論文は、神戸というまちの課題を正面から問う出題が続いています。何をどの順で準備すればいいか、区分ごとに整理しました。
この記事でわかること
- 神戸市消防局の論作文の試験条件(試験時間・文字数・区分など)
- 直近3年の過去問(大学卒・高専短大卒・高校卒)
- 過去問から読み取れる出題傾向
- 採点で見られやすい評定ポイント
- 当日までの準備の手順と、よくある質問への回答
神戸市消防局の論作文の試験条件
神戸市消防局では、大学卒程度・高専短大卒程度・高校卒程度という複数の採用区分で論文が課されてきました。区分によって、出題の重心が少しずつ違います。
| 採用区分 | 問題形式 | 試験時間 | 文字数 |
|---|---|---|---|
| 大学卒程度 | 論文 | ― | ― |
| 高専・短大卒程度 | 論文 | ― | ― |
| 高校卒程度 | 論文 | ― | ― |
試験時間と文字数は、現時点で公表値を確定できていません。この記事では断定を避け、―としています。ここからは区分ごとに、過去問と出題傾向を見ていきましょう。
なお、実際の試験時間・字数・区分名等の試験条件は、年度ごとに変わることがあります。本試験前には必ず、最新の公式情報(募集要項・採用案内等)を確認してください。
神戸市消防局・大学卒程度の過去問と出題傾向
神戸市消防局・大学卒程度の過去問
大学卒程度の論文は、ひとことで言うと「神戸というまちの構造的な課題」を、当事者として考えさせる形式です。
2025(令和7)年度
都心部へのタワーマンション建設は短期的な人口を増やすことができますが、持続可能なまちを目指す神戸市では、タワーマンションが林立することには市全体にとってデメリットがあると考え、三宮周辺の商業エリアを「都心機能誘導地区」と指定し、2020 年7 月からタワーマンションなど大規模な住宅の建築を一定制限しています。市場原理に任せてタワーマンションが増加するとどのようなデメリットがあると考えられるかについて述べ、タワーマンションの建設に頼らない、これからの神戸市が目指すべき住居エリアや地域コミュニティのあり方について、あなたの考えを具体的に述べなさい。
2024(令和6)年度
神戸市の農村地域の人口は減少傾向にありますが、テレワークなどの働き方や暮らし方が大きく変化した現代において、都市部から里山エリアへの移住が注目されていることを踏まえ、移住を積極的に受け入れる取り組みを進めています。こうした取り組みを進めている背景には、農村地域の人口減少による空家の増加や、耕作放棄地の発生等があります。このような課題を放置することによって、市民の暮らしにはどのような問題が起きるか、またその問題への対策のアイディアについて、あなたの考えを述べなさい。
2023(令和5)年度
生物多様性は、人間社会の持続可能性の維持に欠かせないものですが、人々の経済活動による開発に伴う植物の伐採や、気候変動、外来種の侵入等で生態系バランスが壊れ、本来の豊かさが失われてしまう例も少なくありません。このうち、外来種(外来生物)の問題について、あなたの考えを述べてください。
(出典:神戸市消防局)
神戸市消防局・大学卒程度の出題傾向
3年分から読み取れる傾向は、主に2つです。
傾向1:まちづくり・人口課題への視点
タワーマンション規制、里山移住、空家。いずれも、神戸が抱えるまちの構造的な課題です。海と山にはさまれ、農村地域も抱えるという神戸の二面性が、出題の土台になっています。漠然と「人口減少は問題です」と書くのは弱く、神戸という具体的な地形・歴史に引きつけて論じることが求められます。
傾向2:多角的に、対策アイディアまで書かせる
大学卒程度の設問は、「デメリットを述べたうえで、あり方を具体的に」「問題を挙げ、対策のアイディアを」というように、課題の分析+自分なりの対策まで書かせます。生物多様性・外来種のように、一見まちづくりから離れたテーマも出ますが、問われ方は同じです。設問の要素をひとつずつ拾い、対策まで書き切る構造を身につけてください。
なお、イシカワ塾では、このような神戸市消防局・大学卒程度の出題傾向に合わせた「予想テーマ解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
神戸市消防局・高専短大卒程度の過去問と出題傾向
神戸市消防局・高専短大卒程度の過去問
高専短大卒程度は、大学卒程度と同一問題が課される年があるのが特徴です。DXなど行政運営に踏み込んだテーマも出ます。
2025(令和7)年度
神戸市では、2021 年4 月に、 「働き方改革(業務改革)ロードマップ 2.0」を策定し、デジタル技術を積極的に活用しながら、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むこととしています。具体的には、2025 年度までに、7 割の行政手続きをオンラインや郵送で行えることを目指しており、神戸市への電子申請や届出は、神戸市が運営するWEBサイト「e-KOBE」を利用して、証明書や児童手当などの申請をオンラインで行うことができます。また、業務に当たっては、2024 年2 月より、市職員全員を対象に生成AI の本格利用を開始し、業務効率の改善や新しいアイデア出し等に活用するなどしています。このようなデジタルを活用した業務改革におけるメリットやデメリットにはどのようなものがあるか、利用者としての市民側と、業務改革を行っている行政側のそれぞれの視点から具体的に述べなさい。
2024(令和6)年度
神戸市の農村地域の人口は減少傾向にありますが、テレワークなどの働き方や暮らし方が大きく変化した現代において、都市部から里山エリアへの移住が注目されていることを踏まえ、移住を積極的に受け入れる取り組みを進めています。こうした取り組みを進めている背景には、農村地域の人口減少による空家の増加や、耕作放棄地の発生等があります。このような課題を放置することによって、市民の暮らしにはどのような問題が起きるか、またその問題への対策のアイディアについて、あなたの考えを述べなさい。
※ 大学卒(基礎的能力・専門試験方式)と同一問題
2023(令和5)年度
生物多様性は、人間社会の持続可能性の維持に欠かせないものですが、人々の経済活動による開発に伴う植物の伐採や、気候変動、外来種の侵入等で生態系バランスが壊れ、本来の豊かさが失われてしまう例も少なくありません。このうち、外来種(外来生物)の問題について、あなたの考えを述べてください。
※ 大学卒(基礎的能力・専門試験方式)と同一問題
(出典:神戸市消防局)
神戸市消防局・高専短大卒程度の出題傾向
読み取れる傾向は2つです。
傾向1:大学卒程度と同じ土俵で問われる
里山移住や生物多様性のように、大学卒程度と同一問題が出る年があります。つまり、求められる思考の深さは上位区分と大きく変わりません。神戸のまちの課題を、自分の言葉で分析し対策まで書く準備は、区分を問わず必要になります。
傾向2:メリット・デメリットを両面から書かせる
DXの設問では「市民側と行政側のそれぞれの視点から」「メリットとデメリットの両方を」と、物事を多角的に見る力が試されます。片方だけに偏った答案は、設問に答えたことになりません。指示された視点をひとつずつ拾う癖をつけてください。
なお、イシカワ塾では、このような神戸市消防局・高専短大卒程度の出題傾向に合わせた「予想テーマ解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
神戸市消防局・高校卒程度の過去問と出題傾向
神戸市消防局・高校卒程度の過去問
高校卒程度は、上位区分に比べて「チームで働く姿勢や、市民への寄り添い」を問う出題が目立ちます。
2025(令和7)年度
少子化が進む中で、部活動の休部・廃部が相次ぎ、学校単位での活動の維持が難しくなっています。 また全国的に教員不足も深刻になっており、 教員が顧問を担う仕組みは限界に近づいています。そこで、 神戸市では2026年度中に中学校の部活動を終了し、 生徒が地域の方々とともに活動する「KOBE◆KATSU(コベカツ) 」を開始します。 「コベカツ」の活動内容はいわゆる運動競技に限らず、料理や e スポーツなども含まれ、活動主体としては、スポーツ・文化芸術団体、大学、民間企業、NPOなど、地域で活動されている団体を想定しています。保護者や部活動OBの方などが複数名で協力して活動団体を立ち上げて活動することも可能です。この「コベカツ」の導入は、中学生や子どもを持つ市民にとって、どのようなメリットがあると考えられるか、また、想定される課題はなにか、あなたの考えを述べなさい。
2023(令和5)年度
市役所の仕事のほとんどは、一人で課題に取り組むものではなく、チームで協力して課題に取り組み、解決していく仕事です。チームで仕事をするにあたって必要なものがなにか、またあなたの考えとは対立する意見が出た場合には、どのように振る舞うべきか、その行動や心掛けについて、これまでの経験を踏まえ、あなたの考えを具体的に述べなさい。
2022(令和4)年度
市役所は、市民に最も身近な存在であり、色々な背景を持った市民の方が、様々な相談や手続きのために訪れます。来庁される方は、困りごとや心配ごとをお持ちの方も多く、相手の立場に寄り添った姿勢を意識することが大切です。そこで、①子育て世帯・②高齢者・③外国人の方が相談に来られた場合に、それぞれ、職員としてどのような点に留意しながら対応するべきか、あなたの考えを述べなさい。
(出典:神戸市消防局)
※ 高校卒程度の2024(令和6)年度は、当方の追跡記録で問題文の確認が取れていないため、掲載を見送ります。
神戸市消防局・高校卒程度の出題傾向
読み取れる傾向は2つです。
傾向1:チームワークと市民対応の姿勢を問う
「チームで仕事をするうえで必要なもの」「立場の異なる市民への対応」など、高校卒程度は働く人としての姿勢を問う出題が続いています。消防の現場も、まさにチームです。一人で消火も救助もできません。この感覚は、論作文でもそのまま評価につながります。
傾向2:経験を踏まえて具体的に書かせる
「これまでの経験を踏まえ」「具体的に述べなさい」という指定が目立ちます。きれいな言葉を並べるだけでなく、自分の経験と結びつけて、なぜそう考えるかを述べることが重要です。部活・アルバイト・学校生活の中から、協力や対応の一場面を用意しておきましょう。
なお、イシカワ塾では、このような神戸市消防局・高校卒程度の出題傾向に合わせた「予想テーマ解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
採点でどこを見られるか(全区分共通)
採点者が見ているのは、文章の上手さよりも「この人と一緒に現場へ出られるか」だと考えてください。
消防官の採用試験は、文章力を競う試験ではなく、一緒に働く仲間を選ぶ試験です。神戸市の出題は設問が長く、条件も細かいため、まず「問われた要素を、ひとつずつ拾えているか」が問われます。「市民側と行政側のそれぞれの視点から」とあれば両方を、「メリットと課題を」とあれば両面を書く。ここでつまずく人が、本当に多いのです。
特に神戸市消防局の論作文試験の場合、次のポイントに注意しましょう。
- 設問の条件を分解して、すべて答えているか。長い設問ほど、問われた要素を落としやすくなります。
- 神戸という土地に引きつけて論じているか。一般論の紹介で終わっていないか。
- チームで動く意識と、市民への責任感が文章からにじみ出ているか。消防は隊で動く仕事です。
神戸市消防局が掲げる運営の重点
神戸市消防局は、毎年度公表している「事業概要」の中で、その年の主要事業を掲げています。令和8年度は、次の5つの柱で構成されています。
- 激甚化・頻発化する災害への備え
- 幅広い世代の参加による地域防災力の向上
- 市民・事業所等の安全対策の推進
- 安定的な救急サービスの提供
- 神戸のまちと人を守るための組織づくり
神戸市消防局の論作文は、まちづくりや多様性など消防に直接は結びつきにくいテーマも出ます。ですが、事業概要が示すとおり、消防の仕事は地域防災力の向上や市民の安全を通じて、まちづくりと地続きです。答案で神戸のまちを論じるとき、「その安全を誰が支えるのか」という消防職員の視点を最後に一言添えられると、説得力が一段と増します。
主要事業は毎年更新されます。受験前に、最新版を確認しておきましょう。
(出典:神戸市消防局『令和8年度 事業概要』)
答案で使える神戸市の事実
傾向で見たテーマに沿って、答案の説得力を上げる公表データを紹介します。丸暗記ではなく、序論で課題の深刻さを示す材料として使ってください。
- 神戸市の人口は約149.6万人(令和8年1月1日現在)で、対前年6,447人減と減少が続いている。高齢化率は将来推計で2025年29.2%から2050年39.2%へ上昇する見込み。→ 「タワーマンションに頼らない住居エリア」「里山移住」など、まちづくり・人口課題がテーマの論文で、現状を示す序論の材料に。
- 神戸市は「神戸2030ビジョン」で、若い世代が進学で転入する一方、就職・子育て期に転出する傾向を課題とし、『22〜39歳の社会動態の転出超過を解消』をKPIに掲げている。→ 移住・持続可能なまちづくりがテーマの論文で、神戸の政策文脈を踏まえる材料に。
なお、数値は公表時点のもので、年度によって更新されます。答案で使うときは「約」を付けた概数で十分です。
(出典:神戸市公表資料[推計人口・将来推計人口・神戸2030ビジョン等])
なお、イシカワ塾では、全国の消防官採用試験の論作文課題を分析し、最も出題可能性の高いテーマだけを集めた「予想テーマ解答例セット」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
試験当日までの対策ガイド
やることは至ってシンプルです。
- 良質な解答例を読む
- 自分で書いてみる
これだけに集中しましょう。
闇雲に、自分の力だけで論作文対策を乗り切ろうとするのは、あまりに無謀です。もちろん、独学での努力を否定するわけではありませんが、論作文試験の先には面接なども控えていますので、ここは出来る限り効率化し、他の試験対策に投資できる時間を増やしましょう。
試験当日までのオススメの過ごし方は以下の通りです。
- 「消防論作文の書き方ガイド」などを参考にしつつ、解答例を読み、論作文の基本の型を身につけましょう。結論・理由・具体・まとめの骨格をまず固めます。
- この記事の直近3年分を、設問の条件ごとに分解しましょう。「何を、どの視点で、いくつ答えるのか」を線で囲む練習が効きます。
- 身につけた型に、神戸の重要テーマを当てはめます。まちづくり・多様性・防災といった柱ごとに、自分の意見と具体例をメモしておきます。当塾の「過去問解答例」や「予想テーマ解答例セット」を活用するのもオススメです。
- 本番想定で、時間を計って一度書き切りましょう。書けないテーマこそ、伸びしろです。数値は公式で裏取りし、答案に創作値を書かないことも大切です。
- 書いた答案を、設問とつき合わせて見直しましょう。問われた要素をすべて拾えているか、神戸という土地に引きつけられているか、チェックしましょう。
なお、できれば仕上げの段階で意識してほしいのが、面接対策との一貫性です。作文で書いた「神戸で働きたい理由」は、面接でも問われる可能性があります。両者で言うことがブレないように、自分の軸を一本にしておくのが望ましいです。論作文は面接の下書きでもあります。
よくある質問(FAQ)
神戸市消防局の論作文は、消防の専門知識が必要ですか。
直近の出題を見るかぎり、まちの課題を問う一般的なテーマが中心です。消防の専門知識そのものより、神戸という土地への理解と、考える力が問われています。ただし消防職員としての視点は、最後の一押しになります。
試験時間や文字数はどれくらいですか。
当方の追跡では確定値を公表できていません。年度・区分で変わり得るため、受験年度の募集要項・採用案内で必ず確認してください。この記事では断定を避けています。
区分(大学卒・高専短大卒・高校卒)で、対策は変えるべきですか。
軸は共通ですが、出題の重心が少し違います。高校卒程度はチームワークや市民対応を問う傾向、上位区分はまちづくりや政策の比重が高めです。高専短大卒程度は大学卒程度と同一問題の年もあります。自分の区分の過去問を中心に据えてください。
設問が長くて、何を書けばいいか迷います。
まず設問を条件ごとに分解してください。「デメリットを述べ」「あり方を具体的に」のように、問われている要素に線を引き、ひとつずつ答えていけば、迷いにくくなります。神戸市の設問は長い分、要素を落とさないことが得点に直結します。
神戸の課題は、どう調べればいいですか。
市の公式サイトや採用案内が出発点です。人口・まちづくり・防災のキーワードで、自分の言葉に落とし込んでおきましょう。数字は公式で裏取りし、答案に創作値を書かないことが大切です。
文章が苦手でも合格できますか。
できます。採点は表現のうまさより、設問にまっすぐ答え、自分の言葉で書けているかを見ています。型を覚えて練習を重ねれば、文章力そのものは後からついてきます。それでも不安な場合は、解答例つきの教材を選択肢のひとつにしてください。
まとめ
最後に要点を整理します。
- 神戸市消防局の論作文は、神戸というまちの固有の課題を、当事者として考えさせる出題が続いています(試験時間・字数は要公式確認)。
- 傾向の柱は、まちづくり・多様性・職員としての姿勢。高校卒程度はチームワークや市民対応の比重が高めです。
- 準備は、解答例を読む → 設問を分解して自分で書いてみるの順番で進めるのが最短ルートです。
なお、ひとりでの対策に不安がある方、手応えがなかった方、仕事や部活などで時間がない方には、大学卒・高専短大卒・高校卒、それぞれの採用区分に合わせて、独学での合格をサポートするテキストもご用意しています。必要に応じてご活用ください。
あなたが最終合格し、神戸市消防局の消防士として活躍されることを心から願っております。イシカワでした。
POLICE / FIRE EXAM