こんにちは、イシカワです。
この記事では、川崎市消防局の論作文(作文・小論文)について、直近3年の過去問・出題傾向・試験当日までの対策方法をまとめています。川崎市消防局の消防士を目指す方が、何をどの順で準備すればいいか、分かりやすく整理しました。
この記事でわかること
- 川崎市消防局の論作文の試験条件(試験時間・文字数・問題形式など)
- 直近3年の過去問(大学卒程度・高校卒程度)
- 過去問から読み取れる出題傾向
- 採点で見られやすい評定ポイント
- 当日までの準備の手順と、よくある質問への回答
川崎市消防局の論作文の試験条件
川崎市消防局は、採用区分によって試験時間と文字数が変わります。大学卒程度は80分でやや長め、高校卒程度は60分という条件で実施されてきました。
| 採用区分 | 問題形式 | 試験時間 | 文字数 |
|---|---|---|---|
| 消防士(大学卒程度) | 論文 | 80分 | 1,000字以上・1,200字以内 |
| 消防士(高校卒程度) | 論文 | 60分 | 800字以上・1,000字以内 |
区分で時間・字数は違いますが、問われる価値観には共通点があります。ここからは区分ごとに、過去問と出題傾向を見ていきましょう。
なお、実際の試験時間・字数・区分名等の試験条件は、年度ごとに変わることがあります。本試験前には必ず、最新の公式情報(募集要項・採用案内等)を確認してください。
川崎市消防局・大学卒程度の過去問と出題傾向
川崎市消防局・大学卒程度の過去問
大学卒程度の論文は、ひとことで言うと「組織のなかの個人」を問う形式です。個人の力を、組織のなかでどう発揮するかに切り込む問いが続きます。
2025(令和7)年度
近年、日本各地で自然災害をはじめとする大規模災害が多発しています。消防としてこれらの災害に対応するためには、個人の能力と組織の能力を最大限に発揮する必要があります。個人の能力と組織の能力を最大限に発揮するための方策について、あなたの経験を踏まえて具体的に挙げ、その理由とともに述べなさい。
2024(令和6)年度
消防の業務は、市民の生命、身体及び財産を災害等から守ることを目的としており、発生した災害に安全・確実に 対応する必要があることから、自己及び組織の能力を最大限発揮し、効率的かつ効果的な活動をするために必要であると考えられる事項について、消防の業務の特性を踏まえてあなたの考えを述べなさい。
2023(令和5)年度
市民の生命・身体・財産を守ることを任務とする消防には多岐にわたる業務があります。その業務を遂行するにあたり、市民はもとより職員からも信頼される必要があります。あなたが考える人から信頼を得る方法とあなたが実際に人から信頼を得るために行っていることについて述べなさい。
(出典:川崎市消防局)
川崎市消防局・大学卒程度の出題傾向
3年分から読み取れる傾向は、主に2つです。
傾向1:組織力・連携・信頼という「組織のなかの個人」
2025・2024年度は、どちらも「個人の能力と組織の能力を最大限に発揮する」という言い回しが使われています。2023年度は市民・職員からの「信頼」がテーマ。消防は隊で動く仕事だからこそ、ひとりの英雄譚ではなく、チームでの最大化を書けるかが問われます。
傾向2:「あなたが実際に行っていること」まで書かせる
「あなたの経験を踏まえて」「実際に人から信頼を得るために行っていること」など、自分の具体的な行動まで書かせる設問が目立ちます。きれいごとを並べるだけでは足りません。問いに含まれた指示は、そのまま採点項目だと考えて、外さず書き切りましょう。
なお、イシカワ塾では、このような川崎市消防局・大学卒程度の出題傾向に合わせた「予想テーマ解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
川崎市消防局・高校卒程度の過去問と出題傾向
川崎市消防局・高校卒程度の過去問
高校卒程度の論文も、大学卒程度と根っこは同じで「チームワーク・信頼・コミュニケーション」を問う形式です。隊で動く仕事への理解が試されます。
2025(令和7)年度
消防という職業は、チームワークが重要であると考えられています。消防という職業において何故チームワークが重要なのか、また、チームワークを高める効果的な方法について、あなたの経験を踏まえて述べなさい。
2024(令和6)年度
市民から信頼されるために身に着ける必要がある消防士としての素養とは何か、あなたの考えを述べなさい。
2023(令和5)年度
消防士は、常に隊で活動することからコミュニケーション能力が重要です。あなたが考えるコミュニケーション能力を高める方法と、コミュニケーション能力を高めるためにあなたが実際に行っていることを述べなさい。
(出典:川崎市消防局)
川崎市消防局・高校卒程度の出題傾向
3年分から読み取れる傾向は、主に2つです。
傾向1:チームワーク・素養・コミュニケーションが反復
チームワーク、信頼される素養、コミュニケーション能力。言い回しは変わっても、隊で働くうえで欠かせない資質が繰り返し問われています。テーマの根っこは大学卒程度と共通しているので、準備の方向は絞りやすいです。
傾向2:「高める方法」と「実際に行っていること」をセットで問う
2025・2023年度は「高める効果的な方法」と「あなたが実際に行っていること」を両方書かせます。理屈だけでなく、自分の行動に落とせているか。チームで何かを成し遂げた小さな経験を、一つ用意しておきましょう。
なお、イシカワ塾では、このような川崎市消防局・高校卒程度の出題傾向に合わせた「予想テーマ解答例」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
採点でどこを見られるか(大学卒程度・高校卒程度共通)
採点者が見ているのは、文章の上手さよりも「この人と一緒に現場へ出られるか」だと考えてください。
消防官の採用試験は、文章力を競う試験ではなく、一緒に働く仲間を選ぶ試験です。もちろん、作文・小論文として基本的なルールを守ることは大前提ですが、それ以上に、「問われたテーマに正面から向き合っているか」「自分なりに最後まで答えを出しているか」が特に重視されます。気の利いた言葉や表現より、自分の頭で考えた跡があるかを、採点者は見ています。
特に川崎市消防局の論作文試験の場合、次のポイントに注意しましょう。
- 設問にまっすぐ答えているか。「実際に行っていること」を問われたら、そこを厚く書き切れているか。
- 抽象論で終わらず、自分の経験・具体策に落ちているか。立派な理想を並べて「で、あなたは何をするの」が薄くなっていないか。
- 「組織のなかでどう動くか」という視点があるか。消防は隊で動く仕事です。
川崎市消防局が掲げる運営の重点
川崎市消防局は、毎年刊行する「消防年報」の中で、その年の年次方針にあたる『令和7年度川崎市消防行政重点施策』を掲げています。その冒頭では、次のような危機感が示されています。
近年、災害が激甚化、頻発化する中、令和6年能登半島地震に続き、宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が気象庁から発表されたほか、大雨・台風等による災害が多発し、全国各地で甚大な被害が発生しました。時を選ばず発生する様々な災害に対し、迅速かつ的確な消防活動を行うため、必要な防災活動拠点、車両、資器材等の整備を行い、消防体制の強化を図るとともに、高まる救急需要に対応するため、デイタイム救急隊を中原消防署に続き高津消防署に整備し、消防力の強化を図る取組をさらに推進していきます。
そのうえで、次の分野を柱に取組を進めるとしています。
- 防災活動拠点等の整備
- 災害対応力の向上
- 救急体制の強化
- 消防指令体制の適正な維持
- 火災予防に向けた取組
- その他の主な取組(働き方改革・女性活躍推進・人材育成 ほか)
過去問と結びつけると、つながりが見えてきます。大学卒程度で問われる「個人の能力と組織の能力を最大限に発揮する」は、「災害対応力の向上」で掲げる消防隊・救助隊の基礎能力・応用能力・部隊連携の強化と重なります。高校卒程度の「チームワーク」「コミュニケーション」も、同じ土台の話です。つまり、川崎市消防局が組織として重視する「部隊連携」が、そのまま設問になっているということです。
重点施策は毎年更新されます。受験前に、最新版(消防年報の総括)を確認しておきましょう。
(出典:川崎市消防局『令和6年消防年報』総括(令和7年度川崎市消防行政重点施策))
答案で使える川崎市の事実
傾向で見たテーマに沿って、答案の説得力を上げる公表データを紹介します。丸暗記ではなく、序論で課題の深刻さを示す材料として使ってください。
- 川崎市は人口約156万人(令和8年4月時点)、面積は約144平方キロメートルと、政令指定都市の中でも人口が集まる街で、全国的な人口減少の中でも増加が続いている。→ 「大規模災害への対応」を書くとき、人口密集地ならではの難しさを示す材料に。
- 川崎市の想定では、川崎市直下型地震で市内全域が震度6程度、死者819人・全壊22,329棟などの被害が想定されている。→ 「個人と組織の能力を最大限に発揮する方策」を論じる背景に。
- 川崎市では令和12(2030)年ごろまでに65歳以上の割合が21%を超え、超高齢社会が到来すると見込まれている。→ 高まる救急需要や、災害時の要配慮者支援を論じる材料に。
なお、数値は公表時点のもので、年度によって更新されます。答案で使うときは「約」を付けた概数で十分です。
(出典:川崎市公表資料[人口統計・防災ポータル 地震被害想定等])
なお、イシカワ塾では、全国の消防官採用試験の論作文課題を分析し、最も出題可能性の高いテーマだけを集めた「予想テーマ解答例セット」もご用意しております。必要に応じてご活用ください。
試験当日までの対策ガイド
やることは至ってシンプルです。
- 良質な解答例を読む
- 自分で書いてみる
これだけに集中しましょう。
闇雲に、自分の力だけで論作文対策を乗り切ろうとするのは、あまりに無謀です。もちろん、独学での努力を否定するわけではありませんが、論作文試験の先には面接なども控えていますので、ここは出来る限り効率化し、他の試験対策に投資できる時間を増やしましょう。
試験当日までのオススメの過ごし方は以下の通りです。
- 「消防論作文の書き方ガイド」などを参考にしつつ、解答例を読み、論作文の基本の型を身につけましょう。結論・理由・具体・まとめの骨格をまず固めます。
- 「組織・チームワーク」「信頼・素養」「コミュニケーション」の3つで、話せる経験を1つずつ用意しておきましょう。区分が違っても、問われる価値観は共通です。
- 身につけた型に、川崎市消防局の重要テーマを当てはめます。「部隊連携」「信頼」「コミュニケーション」などのテーマで予想問題を作り、実際に手を動かして答案を作る練習をします。当塾の「過去問解答例」や「予想テーマ解答例セット」を活用するのもオススメです。
- 最初はじっくり書いても構いませんが、試験本番の2週間前くらいまでには、本番の時間・字数を測って書く練習を始めましょう(大学卒程度は80分、高校卒程度は60分)。指定字数の9割以上を目安に、時間配分を体に覚えさせます。
- 書いた答案を、設問とつき合わせて見直しましょう。設問で問われていることにしっかり答えているか、主語が自分(消防)になっているか、チェックしましょう。
なお、できれば仕上げの段階で意識してほしいのが、面接対策との一貫性です。論作文で書いた志望動機や経験は、面接でも問われる可能性があります。両者で言うことがブレないように、自分の軸を一本にしておくのが望ましいです。論作文は面接の下書きでもあります。
よくある質問(FAQ)
川崎市消防局の論作文は何分・何字ですか。
追跡データでは、大学卒程度は80分・1,000〜1,200字、高校卒程度は60分・800〜1,000字でした。ただし年度や区分で変わり得ます。受験年度の募集要項で必ず確認してください。
大学卒程度と高校卒程度で、対策は変えるべきですか。
字数と時間が違うので、書く分量の感覚は変えてください。ただし、問われている価値観(組織・信頼・チームワーク)は共通しています。柱の準備は、どちらの区分でも同じで構いません。
「あなたの経験を踏まえて」とある設問が苦手です。
立派な経験でなくて構いません。部活、アルバイト、学校行事など、チームで何かを成し遂げた小さな経験を、消防のチームワークに結びつけてください。大きさより、具体性です。
過去問と同じテーマがまた出ますか。
同じ文言で出るとは限りません。ただ、組織・信頼・チームワークという軸は反復しています。テーマの言い回しが変わっても根っこは似ているので、柱ごとに自分の考えを準備しておく方が応用が利きます。
文章が苦手でも合格できますか。
できます。採点は表現のうまさより、設問にまっすぐ答え、自分の言葉で書けているかを見ています。型を覚えて練習を重ねれば、文章力そのものは後からついてきます。それでも不安な場合は、解答例つきの教材を選択肢のひとつにしてください。
まとめ
最後に要点を整理します。
- 川崎市消防局の論作文は、区分で時間・字数が異なり(大学卒程度80分・高校卒程度60分)、組織・信頼・チームワークを問うという傾向でした。
- 直近の出題テーマは、「部隊連携」「信頼」「コミュニケーション」など。川崎市消防局が重視する部隊連携とつながっています。
- 準備は、解答例を読む → 自分で書いてみるの順番で進めるのが最短ルートです。
なお、ひとりでの対策に不安がある方、手応えがなかった方、仕事や部活などで時間がない方には、大学卒程度・高校卒程度、それぞれの採用区分に合わせて、独学での合格をサポートするテキストもご用意しています。必要に応じてご活用ください。
あなたが最終合格し、川崎市消防局の消防士として活躍されることを心から願っております。イシカワでした。
POLICE / FIRE EXAM