消防官採用試験

【消防官採用試験】体力試験対策・完全ガイド【合格基準と実施方法を徹底解説】

消防官になりたい人
消防官採用試験の体力試験対策をしたいけど、種目もたくさんあるし、何から始めていいのかわからないや... 。試験種目の内容や、目標になる合格基準があれば知りたいな。

こんな疑問に答えます。

本記事の内容

こんにちは、イシカワです。

今回は、消防官採用試験の体力試験について解説します。本記事を読むことで、「体力試験の各種目の特徴・合格基準・対策方法」などが分かります。

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消防官採用試験の体力試験とは?

消防官採用試験における体力試験は、「災害対応業務に従事できる基礎体力があるか」を評価する試験です。

過酷な災害から市民を守る立場の消防官が、一般人より非力だったら心許ないですよね。万が一には、その消防官自身が職務中にケガをしたり、命を落とすかも知れません。

そんな事故を防ぐためにも、まずは採用前のタイミングで力試しをしておこうというわけです。

超人的な身体能力が求められるわけではない

消防の体力試験で求められるのは、あくまで「消防職員として必要最低限の体力」です。

超人的な身体能力ではありません。

具体的な合格基準は後ほど解説しますが、おそらく、高校や大学で運動部に所属してる学生であれば、何の対策もせずに合格基準に達すると思います。

体力に自信が無くても大丈夫

こんなこと言うと信じられないかも知れませんが、実は、平均的な体力しかないにも関わらず消防官になってる人は大勢います。

どんなに運動習慣がない人でも、消防学校に入校すれば体力は必ず向上するので、採用側もそれを見越して合否判定するからです。

平均的な体力はあるし、目立ったケガや病気もない。消防学校では頑張ってもらうことになるけど、土台はしっかりしてるようだし、今は伸びしろに期待かな。
消防職員

こんな感じです。

特に近年の消防官採用試験は、人物重視・専門性重視の傾向があり、体力試験の結果が全てというわけではありません。

採用案内に載っている身体基準を満たし、必要最低限の体力さえ確認できれば、あとは体力以外の適正をみて合否を判断する場合がほとんどです。

「自分は体力に自信がないから…」という理由で消防官になる夢を諦める必要はありません。

補足

「必要最低限の体力」のハードルは、東京消防庁など、大規模な消防本部ほど低い傾向があります。逆に地方の小さな消防本部では、どうしても少数先鋭で災害に対処しなければならないため、このハードルは高くなります。つまり、「小さな消防本部ほど体力試験の合格基準が厳しい傾向にある」ということです。

採用試験は圧倒的に面接重視

消防官採用試験は圧倒的に面接重視です。体力試験も大切ですが、優先順位には注意しましょう。

たとえば、横浜市消防局が公表している資料では、次のような配点基準で合否を判定しています。

横浜市職員(大学卒程度) 消防一般区分 配点表
教養試験 面接試験 論文試験 体力試験 総合点
一次試験 410 410
二次試験 40(換算) 300 100 100 540

 

この通り、圧倒的に面接試験の配点が高いです。

消防官採用試験を受験する方は、おそらく体力に自信がある人が多いと思います。

自分の得意分野を伸ばそうと、一生懸命トレーニングに励む受験生も多いかと思いますが、体力試験に気を取られて面接対策がおろそかになるのは絶対にNGです。

一次試験通過後はとにかく面接対策に専念して、合間の息抜きとしてトレーニングをするくらいのバランスが理想的です。

補足

少し余談ですが、先の配点表で教養試験の点数が二次試験時に圧縮されている点も注目すべきです。これは、仮に一次試験で満点を取ったとしても、二次試験で失敗すれば簡単に他の受験生に逆転されてしまうことを意味します。「教養試験が高得点だったのに最終合格できなかった」という人が時々いますが、原因はコレです。教養試験の成績が二次試験で圧縮、もしくはリセットされることは公務員試験ではよくある話なので、一次試験が上手くいっても油断は禁物です。

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トレーニングは計画的に、一次試験対策と並行して行う

身体能力の向上にはそれなりの時間を要します。残念ながら、短期間の努力ではどうにもなりません。

運動習慣がない人が一次試験通過後にトレーニングを始めても正直手遅れですし、肝心な面接対策の時間を大きく削ることになります。余裕をもって二次試験対策を進めるためにも、なるべく早い時期からトレーニングを開始しましょう。

理想は「採用試験を受けよう」と決めたタイミング

最善を尽くすのであれば、「消防官採用試験を受けよう」と決めたタイミングで一度体力試験の各種目をやってみて、一次試験対策と並行しながらトレーニングをするのがおすすめです。

自分の苦手種目を知ることができれば、必要に応じてトレーニングを早めに開始することができますし、逆に最初から合格基準を満たしていそうならば、体力試験の心配をせずに一次試験対策に集中できます。

いずれにしろ避けては通れない体力試験なのですから、なるべく早く対策に着手するのが得策です。

体力試験の流れ(東京消防庁の場合)

東京消防庁の体力試験は、基本的に身体検査と同日に実施します。

視聴覚検査や心電図、採血などの身体検査が一通り終わった後、受験生全員が体育館に集められて体力試験が始まります。

最初に全体で準備体操・閉眼片足立ち・腕立て伏せなどを実施した後、少人数のグループごとに1km走・反復横跳びなどの個別種目を行います。

各種目の実施前には必ず試験官による説明があるので、指示を聞き漏らさないよう注意しましょう。

 

体力試験の合格基準

東京消防庁をはじめ、大多数の消防本部では職員の体力を評価するのに厚生労働省の「新体力テスト」を使ってます。

したがって、皆さんが目指すべきなのはこの新体力テストにおけるA評価です。

合計点で評価が決まる方式ですので、仮に苦手種目があったとしても、他の種目で挽回できれば問題ありません。各種目で平均8〜9点くらいを得点できればA評価という仕組みですので、下記の表を参考にしつつ、自分なりに戦略を立ててみてください。

総合評価基準表
段階 20歳〜24歳 25歳〜29歳 30歳〜34歳
A 50点以上 49点以上 49点以上
B 44〜49 43〜48 42〜48
C 37〜43 36〜42 35〜41
D 30〜36 29〜35 28〜34
E 29点以下 28点以下 27点以下
項目別得点表 (男性)
得点 握力 上体起こし(30秒) 長座体前屈 反復横跳び(20秒) 20mシャトルラン 立ち幅跳び 
10 62kg以上 33回以上 61cm以上 60点以上 95回以上 260cm以上 
9 58〜61 30〜32 56〜60 57〜59 81〜94 248〜259
8 54〜57 27〜29 51〜55 53〜56 67〜80 236〜247 
7 50〜53 24〜26 47〜50 49〜52 54〜66 223〜235 
6 47〜49 21〜23 43〜46 45〜48 43〜53 210〜222
5 44〜46 18〜20 38〜42 41〜44 32〜42 195〜209
4 41〜43 15〜17 33〜37 36〜40 24〜31 180〜194 
3 37〜40 12〜14 27〜32 31〜35 18〜23 162〜179
2 32〜36 9〜11 21〜26 24〜30 12〜17 143〜161
1 31kg以下 8回以下 20cm以下 23点以下 11回以下 142cm以下
項目別得点表 (女性)
得点 握力 上体起こし(30秒) 長座体前屈 反復横跳び(20秒) 20mシャトルラン 立ち幅跳び 
10 39kg以上 25回以上 60cm以上 52点以上 62回以上 202cm以上 
9 36〜38 23〜24 56〜59 49〜51 50〜61 191〜201
8 34〜35 20〜22 52〜55 46〜48 41〜49 180〜190
7 31〜33 18〜19 48〜51 43〜45 32〜40 170〜179
6 29〜30 15〜17 44〜47 40〜42 25〜31 158〜169
5 26〜28 12〜14 40〜43 36〜39 19〜24 143〜157
4 24〜25 9〜11 36〜39 32〜35 14〜18 128〜142
3 21〜23 5〜8 31〜35 27〜31 10〜13 113〜127
2 19〜20 1〜4 25〜30 20〜26 8〜9 98〜112
1 18kg以下 0回 24cm以下 19点以下 7回以下 97cm以下

※ 東京消防庁の場合、持久走は20mシャトルランではなく1km走が実施されます。

ちなみに私の場合、採用試験当時の記録はB〜C評価だったと思います。笑

必ずしもA評価でなければ不合格ということではないので、何よりケガをしないように、焦らず自分のペースで頑張りましょう。

 

各種目の特徴と対策

ここでは体力試験における各種目の実施内容と対策方法を解説します。

基本的には東京消防庁の体力試験種目を網羅する内容ですが、各種目の実施方法・目標記録・対策方法などは、他の消防本部を受験する方にも参考になるかと思います。

なお、各種目(1km走以外)の測定方法は文部科学省「新体力テスト」に準拠し、目標記録は同テストの8点に相当します。

補足

各種目のイメージがつきやすいよう、YouTubeで私が見つけた参考動画を紹介しています。どれも体育大学入試向けの動画なので目標記録が若干高く設定されていますが、測定方法などは消防官採用試験と変わりません。

 

1km走

決められたコースに従って、複数の受験生が進行方向1列に並んで一定間隔・一定ペースで走ります。

走行距離は1km、試験時間は約5分です。

競争ではないので、前の走者を追い越すことはできません。他の受験生に触れたり、間隔が乱れるのもNGです。

走る速度は足元に設置されたライトの点滅で管理されるので、先頭走者の受験生1名がその点滅を見ながらペースメーカーとなり、他の受験生はそれに追走します。何を言ってるか分からないかも知れませんが、会場で試験官の説明を受ければ1発で理解できると思うので、あんまり気にしなくてOKです。

ちなみに、大勢で走るのにどうやって個別に評価するの?と思われるかも知れませんが、各受験生は番号の書かれたゼッケンを身に付けるので、何かあったらその番号で注意されます。

消防職員
ゼッケン3番の人、もう少し早く走ってください!

こんな感じです。笑

目標記録

受験者のほぼ全員が難なく走り切る種目です。不備を指摘されないように注意しつつ、必ず完走しましょう。

対策方法

スピードの抑揚をおさえ、一定ペースで走り切れるように練習しておきましょう。Nike Run Clubなどのスマホアプリを使って走ると、1kmあたりの走行タイムを自動計測したり、ペースの乱れを可視化することができるのでオススメです。

 

反復横跳び

小中学校の体力試験でやる反復横跳びと同じです。

3本の並行直線(1m間隔)をサイドステップで左右に飛び越えながら、その動作を20秒間で何回繰り返せるか計測します。計測は2回実施し、良い方が記録になります。

注意点として、中央のラインをまたいでなかったり、外側のラインを踏まなかったりするとカウントされません。

また東京消防庁の場合、試験は体育館で実施されます。かなりグリップが効く床面なので、足首を痛めないように注意しましょう。

目標記録

男性 ... 53回以上 ( 60回以上で満点 )
女性 ... 46回以上 ( 52回以上で満点 )

対策方法

平坦な地面にカラーテープなどでラインを引いて練習しましょう。できれば滑りにくい屋内環境で、体育館シューズなどを履きながら練習できれば理想的です。

 

上体起こし

受験生が2人1組になって行います。実施者は仰向けになり、背中(肩甲骨)を床面につけます。補助者は実施者の両膝を押さえて固定します。

「はじめ」の合図で、実施者は仰向けの姿勢から両ヒジと両太モモが付くまで上半身を起こし、その後、すばやく元の仰向けの姿勢に戻ります。この動作を30秒間のうちに何回繰り返せるかを計測します。

注意点として、実施者の腕が体から離れていたり、上半身を起こした時に片方のヒジが太モモに付いていない場合、仰向けの状態で背中が床に付いていない場合などはカウントされません。

目標記録

男性 ... 27回以上 ( 46回以上で満点 )
女性 ... 20回以上 ( 35回以上で満点 )

対策方法

家族や友人に手伝ってもらいながら、試験本番と同じ条件で練習しましょう。ちなみに私は練習できる相手がいなかったので、1人でも腹筋運動ができる市販のトレーニングベンチを使ってました。

なお、腹筋は全身の中でも特に回復が早い筋肉とされているので、毎日トレーニングしてもOKです。(腰痛には注意)

 

立ち幅跳び

試験は屋外の砂場、もしくは屋内のマット上で実施します。

両足を軽く開いて踏切線の端に立ち、両足の脚力と腕を前に振り出すときの遠心力を利用して前方に跳躍します。

身体がマットに触れた位置のうち、最も踏切線に近い位置までの距離が記録となります。

目標記録

男性 ... 236cm以上 ( 260cm以上で満点 )
女性 ... 180cm以上 ( 202cm以上で満点 )

対策方法

公園の砂場など、地面が柔らかい場所で練習しましょう。

コツとしては、脚力だけでなく重心の移動も意識して跳躍すること。着地でよろけて手や尻を後ろに着いてしまうと、そこまでの距離が記録になってしまいますので、バランス感覚も鍛えておきましょう。

なお注意事項として、アルファルトなど硬い地面で練習するのは絶対にやめましょう。着地時の強い衝撃で関節を痛めやすく、大きなケガの原因になります。

 

長座体前屈

身体の柔軟性を測るテストです。壁に背中をつけ、足を伸ばして座った状態から前屈し、上半身をどれだけ前方に倒せるかを計測します。

目標記録

男性 ... 51cm以上 ( 61cm以上で満点 )
女性 ... 52cm以上 ( 60cm以上で満点 )

対策方法

運動後や風呂上がりなど、体が温まっている状態でゆっくりストレッチして、少しずつ関節の可動域を広げていきましょう。

 

握力

直立姿勢で握力計を握り、左右2回ずつ測定します。左右それぞれの良い値を平均したものが記録となります。

たとえば、以下の記録だった場合。

右手 左手
1回目 56kg 52kg
2回目 54kg 54kg

良い記録は右手が56kg、左手が54kgなので、この平均の55kgが記録となります。

なお、握力計を身体や衣服に押し付けたり、不自然に勢いをつけて計測するのはNGです。

目標記録

男性 ... 54kg以上 ( 62kg以上で満点 )
女性 ... 34kg以上 ( 39kg以上で満点 )

対策方法

ハンドグリップなどを使って日常的に握力を鍛えましょう。手軽に持ち運べるサイズなので、学校や職場など、いつでもどこでもトレーニングできます。勉強の合間の気分転換として使うのもおすすめです。

ちなみに握力は消防官にとって特に重要な身体能力なので、もしお金に余裕がある受験生は負荷可変式ハンドグリップを買った方がいいかもです。たとえば以下のハンドグリップだと、20〜70kgの間で負荷を調整可能です。

結局、普通のハンドグリップを使っていると負荷を変える度に別のグリップを買い直さないといけないので、個人的には少し良いものを買っておくのがオススメです。

なお、トレーニング強度は自分の握力の80%が目安です。たとえば負荷50kgのハンドグリップを1回握るのが精一杯な人は、40kgのハンドグリップでトレーニングをはじめましょう。80%の強度だと、おそらく最初は10〜15回くらいで限界だと思いますが、そのうち段々慣れてきて、疲れにくくなってきます。20回くらい難なく握れるようになってきたら、もう一度最大の握力を測って、またその80%の強度でトレーニングをはじめる。この繰り返しです。

 

腕立て伏せ

試験官の指示に従って腕立て伏せを15回行います。

一般的な腕立て伏せとの違いは、身体を上下するタイミングを試験官から指示されること。つらい体勢をキープし続けるのが厄介です。

基本的な要領は以下のとおり。

  1. 下げ」の合図で身体を下げ、顎は床につける。この状態で約5秒間停止。
  2. 上げ」の合図で身体を上げる。
    (14回繰り返す)
  3. 15回目のみ「下げ」の状態で約15秒停止し、さらに「上げ」の状態で約5秒間停止。「やめ」の合図で終了。

こんな感じです。

合図に従わない動作をしたり、膝をついたり腰を上げたりして姿勢が崩れると注意されます。フォームは厳しく審査されるため、腕の曲げ伸ばしが不十分だったり、顎が床についていない場合なども指摘されます。日頃から正しいフォームで練習するように心掛けましょう。

目標記録

実施回数が決まっている種目なので、目標記録はありません。ただ、受験者の8〜9割近くが完遂する種目なので、最後までギブアップしないように頑張りましょう。

対策方法

時間を測りながら試験と同じの条件で練習しましょう。毎日少しずつ訓練すれば徐々に慣れてきます。もし筋力に自信がない場合は「5回→10回→15回」というように段階的に強度を高めていくのがオススメです。

 

補足:体力試験で役立ちそうな本

ここでは体力試験対策に役立ちそうな書籍を2冊紹介します。

必ずしも必須ではありませんが、どちらも元消防学校教官・鎌田 修広氏による著書でして、私は入庁後3年目くらいに読みました。正直、もっと早く読んでおけばよかったなと思ってます。

消防筋肉

現役消防士や消防官になりたい人に向けて書かれたトレーニング教本です。消防活動への応用に特化した理論的なトレーニング手法が紹介されています。

現役消防隊員向けの書籍なので、正直かなり実践的でハイレベルな内容なのですが、受験生の身体づくりにも応用できます。

特に、救助隊員やはしご隊員を目指している受験生で、採用後のキャリアプランまで見据えて身体作りをしたいなと思っている方には非常におすすめです。

消防メンタル

消防官向けのメンタル強化読本です。根性論や精神論に頼らない、鎌田氏独自の「メンタルを強くする技術」が解説されてます。

過酷な災害現場での応用を前提とした技術なので、実戦性・具体性ともに、他のメンタル強化系の書籍とは一線を画す内容です。

「これから消防官採用試験を受けるけど、合格してもやってけるか不安だな」と感じている方や、採用後も消防官としてより高みを目指したいと考えている方にはオススメです。

まとめ

ということで、今回は消防官採用試験の体力試験対策について解説しました。

最後にもう一度だけ、全体のポイントをおさらいしておきます。

  • 体力試験は必要最低限の身体能力を評価するもので、スーパールーキーを見つける試験ではない。
  • 対策はなるべく早い時期から始めて、苦手種目を克服すること。
  • 二次試験での配点は圧倒的に面接重視。優先順位に注意すること。
  • 評価基準は厚生労働省の「新体力テスト」に準拠している場合が多いので、同テストのA判定を目標に頑張ること。

以上です。

体力試験対策は、なにより継続が大事です。

本記事で紹介したポイントを参考にしつつ、地道に頑張っていきましょう。

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