消防官採用試験

消防官採用試験で合格する勉強法!初心者向け完全ガイド

消防官になりたい人
消防官採用試験対策を始めたいけど、予備校や通信講座ではお金がかかる。できれば独学で合格したいけど、何から手を付ければ良いか分からない…。独学で合格するための手順が知りたい。

こんな疑問に答えます。

消防官採用試験対策の流れ

読者さんへの前置きメッセージ

こんにちは、元東京消防庁消防官のイシカワです。

この記事は、「これから消防官採用試験対策を頑張りたいけど、何から手を付けていいか分からない」という方に向けて書きました。

この記事を読めば、「 消防官採用試験の特徴 」「 具体的な対策の進め方 」「 合格後の過ごし方 」までをイメージできるようになります。

なお、今回は初級者・独学者向けの解説記事なので、内容としてはかなりボリューミーです。しかし、私自身の独学経験や、同じく独学で入庁した同僚の声、SNSで寄せられた独学合格者の体験談などを踏まえた内容なので、この記事の勉強法を理解しておけば、合格までの道のりを無駄なく最短ルートで突き進むことができます。

特に、これから対策をはじめる初学者の方は、これを機にチェックしておくと良いかなと思います。

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STEP ❶ 基礎理解:自分の実力と消防官採用試験の特徴を知る

いきなりですが、かの有名な孫氏の兵法に、こんな言葉があります。

れ( 敵 )をりておのれを知れば、百戦ひゃくせんしてあやうからず。

ちょっと難しい言葉ですが、意味は以下のとおりです。

相手のことを知っていて、自分のことも知っていれば、百回戦っても負けることはない。

つまり、「何かを成し遂げる時に重要なのは、事前の情報戦略である」ということです。

これは、消防官採用試験対策にも通じる本質です。

教養試験、論作文、面接、体力試験、適正検査、などなど… 消防官採用試験は多くの要素が混在する複雑な試験です。なかなか一筋縄では攻略できません。

戦局を有利に進めるためには、自分の実力と採用試験の特徴を正しく理解して、負けない戦い方を模索する必要があります。

では、具体的に何をすればいいのか。

やるべき事は、以下の3つです。

  • WEBページ・採用パンフレットを読み込む
  • 経験者 ( 職員・合格者 ) から学ぶ
  • 過去問を解いてみる

それぞれのポイントを解説していきます。

WEBページ・採用パンフレットを読み込む

まず手始めに、消防本部のWEBサイトや採用パンフレットを見て試験概要を把握します。試験日程・受験資格・出題科目などですね。

また、身長・視力・色覚など、身体要件で不安がある人は、このタイミングで採用窓口に確認してもOKです。対策期間中、ずっと不安を抱えた状態では勉強に集中できませんから。

情報を集めつつ、できればこのタイミングで合格したい試験日程・採用区分も決めておきましょう。

「5月15日の東京消防庁I類の一次試験に合格する。」

こんな感じです。

具体的な合格目標を決めてしまえば、今後の学習計画も立てやすくなります。

働きたい消防本部が決まってない場合

消防官採用試験を受ける方の中には、「なんとなく消防官になりたい」と感じているだけで、どこの自治体で働こうか迷っている方もいると思います。

その場合、無理に志望先を絞り込む必要はありません。勉強を進めつつ、受験できる消防本部を順番に受けていけばOKです。

経験者から学ぶ

効率的に試験対策を進めるためは、経験者から「近道」を教えてもらうことが不可欠です

消防官採用試験という未知の試練に挑戦しながら、皆さんが一人でやるべきことを見極めていくのは難しいからです。

試験対策のコツだけではなく、消防官を目指す上で気になること、不安なこと、迷っていることなど、なんでも相談できる人物を見つけましょう。

できれば皆さんの身近に消防官がいれば理想的ですが、もし居なければ、私のYouTubeチャンネルのコメント欄で質問していただいてもOKです。

すぐに返信できるかは分かりませんが、それなりに的確なアドバイスはできるかと思います。

過去問を解いてみる

本格的な試験対策を始める前に、まずは自分の実力を見極めるために過去問を解いてみましょう。

いきなり過去問を解くのは精神的に苦しいかも知れませんが、なるべく早いタイミングで自分の実力と向き合うことで、試験本番までに必要な努力量や克服すべき苦手分野を明確化できます。

いうなれば、あなたの中に「合格までの地図」が作られて、今の立ち位置と合格までの距離感がつかめるわけです。

自分の得意分野が分かれば、その分野の対策に余計な労力を割かなくて済みますし、逆に弱点が見つかれば、その分野を重点的に強化する参考書選びや学習計画づくりができます。

余計な寄り道や遠回りをせず、合格までの最短ルートを突き進むためにも、まずは過去問を解くことから始めましょう。

イシカワおすすめの過去問テキスト

参考までに、消防官採用試験合格者の多くが愛用している過去問テキストを紹介しておきます。

大卒・高卒消防官 教養試験 過去問350

消防官採用試験の過去問集の鉄板テキストです。問題数・網羅性・科目ごとの出題傾向分析に優れており、複数の消防本部を併願受験する方に特にオススメです。

また、日本全国の消防本部の受験データ ( 年齢上限・受験者数・競争倍率・試験科目など ) を一覧で確認できるのも魅力です。

東京消防庁I類 過去問+予想問題集

大手予備校TACが監修している東京消防庁1類専用の過去問集です。直近5年分の過去問と最新の出題傾向に基づく予想問題1回分を収録しています。

独学で東京消防庁合格を目指す受験生には必須級のテキストです。

補足

余談ですが、上記2冊は私も実際に使っていたテキストです。過去問350は毎日使う練習問題用TAC過去問集は試験本番を想定した模擬試験用といった使い方がお勧めです。

STEP ❷ 教材準備:テキストを用意する

参考書選びは受験生にとって一番悩ましいところ。

場合によっては「欲しい参考書がたくさんある…」という方もいるでしょう。ただ、結論を申し上げると、参考書は1科目につき1冊あれば十分です。これは同じ科目の参考書を2冊、3冊と勉強したところで、得点力が2倍、3倍になるわけではないからです。

色々な参考書に目移りしてツギハギだらけの知識になるよりも、1冊のまとまったカリキュラムに沿って勉強を進めたほうが、体系的な知識を短期間で習得できます。

軸となる参考書を1冊を決めて、どうしても分からない部分がある時にだけ2冊目を買い足す、というスタイルがお勧めです。

イシカワおすすめの参考書

ここでは私自身が実際に使っていた参考書や、最近書店で読んでみて「これいいな」と感じた参考書を紹介します。テキスト選びの参考になさってください。

教養試験対策用テキスト

スーパー過去問ゼミ

別記事でも取り上げてますが、通称「スー過去」と呼ばれる公務員試験の定番テキストです。

控えめに言って、最強です。

主要7科目全てのテキストが揃っているので、正直これを全冊やっておけば教養試験対策は完結します。

特徴としては、とにかくひたすら過去問を解きつつ、頻出問題の解法だけを効率的に身に付けていくスタイルです。過去問15年分の出題傾向を徹底分析した内容だけあって、極限まで無駄が削ぎ落とされています。

あくまで私の独断と偏見ですが、最短ルートで独学合格を目指すのであれば、間違いなくこの「スー過去シリーズ」一択かと思います。

警察官・消防官 ストロングテキスト

スー過去をやってみて「ちょっと難しいな」と感じた方は、こちらの「ストロングテキスト」がオススメです。数的処理・判断推理・空間把握に特化した参考書で、理系科目が苦手な方向けに作られています。わりと最近出版された参考書で、テキストだけでなく各章の動画解説をインターネットで視聴できるのも特徴です。

ただ、分かりやすさを重視する一方、「この内容だけじゃ試験本番はキツいかも」というのが正直な感想なので、あくまで基礎学習用と割り切って、過去問350やスー過去と併用するのがオススメです。

速攻の時事

時事問題対策の必須テキストです。

公務員試験専用のテキストというだけあって、中央省庁が発行している白書などの統計データがふんだんに盛り込まれています。時事問題の知識は教養試験だけでなく、面接や論作文試験にも役立つので、個人的には勉強しておくことを強くオススメします。

作文・小論文試験対策用テキスト

消防論作文・予想テーマ模範解答例 30セット

消防官採用試験で出題が予想される論作文テーマの模範解答集です。

元東京消防庁消防官であるイシカワが、日本全国の消防論作文試験の出題傾向を徹底分析し、「最も出題頻度が高いテーマ」と「最新の社会情勢を踏まえて出題が予想されるテーマ」を完全網羅しました。

消防官採用試験の論作文では、「消防職員としてどう取り組むか」という論題が多く出題されます。

これは、

  • 消防職員の立場や役割を理解しているか
  • 一般市民目線ではなく、消防官の視点を持って物事を考察できるか

このような着眼点で受験者を評価したいという採用側の意図があります。

この予想テーマ解答集を活用すれば、一般的な参考書では対策しきれない「消防」「救急」「防災」「減災」等のテーマについて、消防官目線で論述できるようになります。また、消防論作文に特化するよう極限まで無駄を省いているため、合格に必要な知識だけを最短でインプットできます

一般的な参考書で対策が行き詰まっている方や、部活や仕事で忙しい方には特にオススメです。

解答例を読む

STEP ❸ 計画設計:実現可能な学習計画を立てる

勉強に使うテキストが決まったら、次は試験日から逆算して、具体的な学習計画を立てていきます。

時間ではなく、ノルマで決める

学習計画を立てる上で大切なのは、時間単位ではなく、ノルマ単位で決めることです。

たとえば、「数的処理は1日2時間、社会科学は1時間」というように、時間を指定して勉強するのではなく、「数的処理は毎日1章ずつ終わらせて、社会科学は5ページ分を暗記しよう」といった感じです。結局、どれだけ長時間勉強したところで、やるべきノルマが終わっていなければ意味がありません。

「何時間頑張るか」ではなく「何を達成するか」を目標にしながら学習計画を立てましょう。

時間に余裕がない人は高配点科目に集中

試験対策にはある程度の時間が必要ですが、中には「3ヶ月で合格したい」というような方もいるでしょう。

その場合、数的処理や文章理解などの高配点科目に集中して、他の科目は捨ててしまうのが得策です。

科目ごとの優先順位は別記事で解説しますので、興味のある方は下記リンクを確認してみてください。

【消防官採用試験】教養試験対策・完全ガイド【最重要は数的処理】

消防官になりたい人消防官採用試験の教養試験対策をしたいけど、科目が多すぎて途方に暮れてる... 。これじゃ、何から手を付 ...

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大抵、予定通りに進まない

頑張って学習計画を作っても、最初はなかなか予定通りに進まないものです。

私自身も、経験あります。

ただ、人間誰しも初めての経験で上手くいくことのほうが少ないのですから、「そもそも計画通りにはいかないんだ」と割り切って、臨機応変に自分に合った学習リズムを作っていきましょう。

STEP ❹ 学習開始:筆記試験と体力試験の対策を開始

ここまで来れば、あとは単純作業です。

ひたすら集中あるのみ。

学習計画に沿って、淡々と対策を進めるだけです。

よくある質問:教養試験は何点くらいを目標に頑張ればいいですか?

結論、「6割くらい」が一番コスパが良いかなと思います。

実際、私の身の回りにいる消防職員の場合、おおむね25〜30点くらいで合格している人が多い印象です。東京消防庁の教養試験は45点満点なので、大体6割ですね。

なので、とりあえず6割程度の得点帯を目標に頑張ってみて、ある程度点数が安定してきたら、論作文などの他の試験対策に注力するのがおすすめです。

満点は目指さなくてOK

消防官採用試験の教養試験では、満点を目指す必要はありません。

教養試験の出題範囲はとても広く、全てを網羅しようとするとキリがないからです。満点を目指して膨大な時間を費やすのであれば、論作文など、他の試験対策に時間を使ったほうが得策です。

よくある質問:足切りって何点ですか?

この質問、結構多いですが、正直「よく分からない」です。

とういうのも、私の周りには自己採点が10点台でも合格している同期がゴロゴロいましたし、逆に30点台でも毎年1次試験で落ち続けている後輩もいたからです。

インターネットで調べると、東京消防庁の場合は20〜25点くらいが足切りラインとされているようですが、正直、あまり関係ないんじゃないかと思います…。

採用試験は、恋愛と一緒

個人的には、そもそも教養試験の足切りにこだわること自体がナンセンスだと思っています。

というのも、消防官採用試験では総合評価で合否が決まります。受験者の学力・人格・経歴・身体能力など、あらゆる要素が総合的に評価されます。つまり、たとえひとつの評価項目で平均以下だったとしても、他の項目で優れていれば問題なし、ということです。

これは例えるなら、恋愛と一緒です。

少しイメージしてみて欲しいのですが、もしあなたが誰かに「好きです」「付き合いたい」と告白されたら、あなたはその人を総合的に評価しませんか?

顔がタイプ・スタイルがいい・頭がいい・優しい・清潔感がある、などなど...。その人の色々な側面を観察して、たとえ欠点があったとしても、他の魅力がそれを上回れば「好き」になるかも知れないですよね。

採用試験の本質も、それと一緒です。

採用試験において、「教養試験の足切りは何点ですか?」と質問するのは、恋する相手に「どれだけ頭が良ければ付き合ってくれますか?」と尋ねるようなもので、質問自体がマト外れで、相手の立場からすれば「人による」という話です。

告白してきた相手が美女やイケメンだったなら、頭の良し悪しは気にならないかも知れませんし、逆に学力しか取り柄のない相手だったなら、相当な秀才じゃないと付き合う気にならないかも知れません。

少し極端な例え話かも知れませんが、しかし、現実はそういうものです。

採用試験だって同じです。

私たちにできることは、自分の能力や魅力を精一杯に高めて、全身全霊で試験に挑戦する。ただそれだけです。消防組織が求める経歴や特技があれば、教養試験の結果が低くても最終合格できるでしょうし、逆にマイナス要素があれば満点でも落ちるかも知れません。

結局は「欲しい人を採る」のが採用試験なのですから、足切りなど気にせず、精一杯できることだけに集中しましょう。

作文・小論文対策を開始

大抵の消防官採用試験では、制限時間60〜90分、文字数800〜1200文字程度の作文・小論文試験が実施されます。

高卒区分は作文問題、大卒区分は小論文試験といった感じですが、出題テーマの書きやすさが若干違うだけで、求められる文章力はほぼ同じです

このあたりは後ほど紹介するYouTube動画の中で詳しく解説していますので、「そもそも作文や小論文って何?」という方は、その動画をご覧頂いたほうが理解が早いと思います。

※ 作文・小論文対策は別記事でも詳しく解説しています。

【消防官採用試験】作文・小論文対策・完全ガイド【例文あり】

消防官になりたい人消防官採用試験の論作文対策をしたいけど、文章を書くのって苦手だなぁ…。誰にでも簡単に論作文が書けるよう ...

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作文・小論文対策の手順

明確な正解が用意されている教養試験と違って、作文・小論文試験は答案の自由度が高いです。

「なんでも書いてOK」であるがゆえに、何から対策していいのか分からなくなりがちですが、基本的には次の5ステップで対策を進めればOKです。

対策の手順

  1. 基礎知識を身につける
  2. 文章構成の基礎を学ぶ
  3. 解答例を読む
  4. 自分で書いてみる
  5. 添削する

こんな感じでして、やるべきことは意外とシンプルです。

イメージとしては、STEP ❶ 〜 ❷ で基礎知識を固めたら、あとはひたすら ❸ 〜 ❺ を回すだけです。

読む書く添削

これの高速回転ですね。

詳しく解説します。

手順 ❶ 出題テーマについて学ぶ

どんな答案を書くにしても、出題された問題文についての最低限の知識が必要です。

消防官採用試験の論作文試験には「よくある出題テーマ」がありますので、まずは次のポイントを参考にしつつ、必要な基礎知識を身に付けましょう。

  • 個人的な事柄に関するテーマ

    受験生個人の経験や価値観が問われる出題です。自己分析を通して自分の価値観や過去の経験談などを文章化できるように整理しておきましょう。

  • 社会に関するテーマ

    一般的な社会問題や時事問題を扱った出題です。ニュース・雑誌・新聞や、速攻の時事などのテキストを使って基礎知識を固めつつ、自分なりの意見や感想を用意しておきましょう。

  • 消防に関するテーマ

    消防に関する専門知識が問われる出題です。一見難しそうな出題テーマですが、消防白書を読んでおけばOK。

  • 資料解釈型テーマ

    与えられた資料を元に意見や考えを述べさせる出題です。東京消防庁Ⅰ類の小論文試験に多い形式で、社会問題・時事問題・消防行政などに関係する統計資料から出題されます。基本的な対策は「社会に関するテーマ」「消防に関するテーマ」と一緒です。資料解釈の読解テクニックは「ゼロから始める消防論作文対策・過去問例文集」で解説してます。

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手順 ❷ 文章構成の基礎を学ぶ

このステップは、YouTube動画「解答例あり・徹底解説!消防論作文」を観ておけばOKです。

30分くらいの少し長めな動画ですが、文章構成の基礎を効率的に学べます。

手順 ❸ 解答例を読む

闇雲に過去問を解いても効率的な成長は見込めませんので、まずは目標となる「正解」を知っておきましょう。

先ほど紹介したテキストを活用するのが一番手っ取り早い対策方法ですが、もし身近に親しい消防官がいるのであれば、その人が書いた解答例を見せてもらっても良いでしょう。

スポーツと同様、論作文対策も人の真似から始めるのが一番上達が早いので、とにかくたくさんの解答例を読みつつ、使えそうな言い回しや文章の流れを覚えていきましょう。

手順 ❹ 自分で書いてみる

最も重要なステップです。

どれだけ多くの解答例や文章テクニックを覚えても、実際に書く練習をしなければ文章力は伸びないからです。

最初は論文1本書き上げるだけでも相当疲れると思いますが、この訓練をするか否かで成長スピードが段違いです。

最初からキレイな文章を書く必要はないので、思いっきりガリガリ書いていきましょう。

手順 ❺ 添削する

文章が書き上がったら、家族や友人、学校の先生など、身近な人に読んでもらいましょう。

読みやすい文章か」「設問の答えになっているか」など、論作文試験において大切なポイントを第三者の目で判断してもらうことが重要です。

なお、どうしても周りに頼れる人がいない時は、自分で読み返してもOKです。その場合、文章を書き終えた後、時間を空けてから添削するようにしましょう。書き終えた直後は最高の出来栄えに思えても、しばらくして読み返すと「なんか、変な文章…」ということはよくあります。冷静に、第三者に近い感覚で添削するためにも、半日ないし1日ほど時間を空けてから読み返すのがオススメです。

体力試験対策をはじめる

体力に自信がある人も、できれば教養試験対策を始めるタイミングで一度体力試験の種目をやってみて、苦手分野を把握しておきましょう。

人の身体能力はゆっくり成長しますから、試験直前になって弱点を見つけたのではちょっと手遅れです。なるべく早いうちに自分の弱点を把握して、体力試験本番に向けて鍛え始めることが重要です。

なお、体力試験における各種目の実施方法・合格基準・対策方法については、下記記事で詳しく解説しています。

【消防官採用試験】体力試験対策・完全ガイド【合格基準と実施方法を徹底解説】

消防官になりたい人消防官採用試験の体力試験対策をしたいけど、種目もたくさんあるし、何から始めていいのかわからないや... ...

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STEP ❺ 最終調整:適正検査対策を開始

試験の直前期になったら、適正検査の対策を始めましょう。

「ちょっとギリギリなんじゃない?」と思われる方もいるかも知れませんが、適正検査は対策が簡単な一方、「いかに試験慣れした状態で本番に挑むか」が勝負なので、本番直前期に集中して対策するのがオススメです。

適正検査対策は3日もあれば十分

消防官採用試験では、受験者の公務員としての適性を評価するために適正検査を実施します。

代表的なのは以下の2種類。

  • YG性格検査

    簡単な120問の質問に、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3択で回答し、その結果から性格を分析します。

  • クレペリン検査

    隣り合った数字の足し算を延々と繰り返し、作業効率の変化から心理的な特徴を分析します。どちらも簡単な検査なので、対策期間は3日もあれば十分です。

一見するとなんか面倒くさそうな感じですが、実際やってみれば大したことないです。

簡単にいうと、

  • YG性格検査 ... 質問数がちょっと多い性格診断アンケート
  • クレペリン検査 ... ちょっと疲れる足し算ゲーム

こんな感じです。

対策方法

YG性格検査とクレペリン検査は、いずれも日本で広く普及している適正検査なので、インターネットで検索すれば無数の解説サイトが出てきます。基本的にはインターネットで調べつつ、傾向をつかんでおけば十分です。

ですが、もし「専門家の信頼できる情報が知りたい」「実際に検査を受けてみたい」という方は、以下の書籍がオススメです。

性格検査には「正答」がある!

認知発達研究所・所長の河瀬厚氏が監修した適正検査攻略本でして、初心者にも分かりやすい丁寧な解説が特徴です。

YG性格検査・クレペリン検査のみならず、SPI・SHL社製性格検査・ミネソタ多面人格目録なども徹底的に解説してるので、消防以外の公務員試験や民間の採用試験を併願される方にもオススメです。

内田クレペリン検査 完全理解マニュアル

クレペリン検査に特化した解説本です。実際にクレペリン検査の判定依頼ができる公式検査用紙を付属してます。

アンケート形式のYG性格検査と異なり、クレペリン検査は若干の慣れが必要です。不安な方は1度模擬検査を受けてみることをお勧めします。

適正検査の結果はあまり重要じゃない

ここまで解説しておいてなんですが、採用試験での適正検査の結果はあくまで「補足事項」です。

仮に多少のミスや失敗があったとしても、あまり深刻に考えなくてOKです。

「当たり前のことを当たり前にできる人間かどうか」を判断しているだけなので、完璧にできたところで大きな加点はありません。

こだわり過ぎても時間がもったいないので、ある程度の傾向がつかめてきたら他の試験対策に集中しましょう。

総仕上げは予備校の模試がオススメ

教養試験対策と論作文試験対策がある程度終わったら、試験慣れのために必ず模試をやっておきましょう。

本番に近いストレスと緊張感を体験しておくことで、試験当日も心の余裕が生まれます。

過去問集を使いながら自分でテストしても良いですし、多少お金に余裕があるなら大手予備校の公開模試を受けても良いでしょう。大体5000円くらいで受験できます。

模試をやるかやらないかで、試験本番のパフォーマンスはかなり変わってきます。勉強疲れで大変なところですが、もう一踏ん張り、がんばりましょう。

STEP ❻ 一次通過:面接試験対策を開始

一次試験が終わったら、間髪入れずに面接試験対策に取り掛かりましょう。

採用試験において最も合否に影響するのが面接試験だからです。

実際、消防本部の中には一次試験通過後に受験生の成績を一旦リセットし、合否は二次試験の結果のみで判断するという自治体も多いです。

一次試験は最低限の学力や適正を評価する試験に過ぎず、本当の採用試験は二次試験からスタートするといっても過言ではありません。

どれだけ一次試験の出来栄えが良かったとしても、ここで気が緩んだら全て台無しですので、今一度、自分を奮い立たせて、二次試験に向けてアクセルを踏み込みましょう。

※ 面接試験対策については別記事でも詳しく解説しています。

【消防官採用試験】面接対策・完全ガイド【例文あり・手順を解説】

消防官になりたい人消防官採用試験の面接対策を始めたいけど、具体的に何をすればいいのか分からない。面接対策の手順やコツを知 ...

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面接対策はYouTubeを観ればOK

合否を大きく左右する面接試験ですが、対策方法は至ってシンプルです。

基本的には、私のYouTube動画「頻出質問を完全網羅!消防模擬面接」で模擬面接を繰り返せばOKです。

この動画では、消防の採用面接における頻出質問40問について、質問の意図と回答のコツを分かりやすく解説しています。また、スマホやパソコンがあれば、受験生がいつでもどこでも一人で模擬面接できる作りにもなっています。

動画内のアドバイスを参考にしつつ、自分なりに話す内容を工夫して練習してみてください。

最短ルートも作ってあります

先のYouTube動画で解説している頻出質問40問について、「消防官なら、こう答える」という質問回答集も作ってあります。

消防官採用試験を受ける方の中には、どうしてもひとりでは面接対策に行き詰まってしまう方や、部活動や仕事の都合で本番直前まで面接対策ができない方もいると思います。

そんな受験生が最短ルートで面接対策ができるよう、手助けになればと思って作ったテキストです。

正直、このテキストとYouTube動画「頻出質問を完全網羅!消防模擬面接」を使って1週間くらい練習すれば、面接は突破できると思います。

頻出質問を見る

STEP ❼ 最終合格:入校準備を開始

努力が実を結んで最終合格を手にすると、あなたの名前は「採用候補者名簿」に登記されます。

消防本部は、この名簿の中から順番に職員を採用していくわけです。採用される順番は、成績順だったり、入校時期の希望順だったりと、自治体によって異なるようです。

東京消防庁であれば、仕事の都合で入庁時期を調整したい場合など、かなり融通を利かせてくれるので、もし個人的な事情がある場合は遠慮なく採用窓口に相談してみましょう。

「最終合格 = 採用」ではない

ここで少し注意したいのは、「最終合格 = 採用」ではないということ。

採用候補者名簿に載るというのは、あくまで採用が予定されているということに過ぎず、必ず採用に至るとは限りません。何らかの理由で採用人数が削減されてしまって、候補者全員が採用されない可能性もありますし、候補者本人の素行不良などが原因で名簿から除外されることもあります。

最終合格を手にしたからといって油断せず、節度をもった私生活を心がけましょう。

補足

東京消防庁の場合、庁側の都合で不採用になることはほぼありません。

まずは思いっきり遊ぶ

これは私の個人的な意見ですが、合格後はとにかくたくさん遊んでおいた方がいいです。

消防職員になってしまうと長期の旅行は中々行けませんし、何をするにも公務員としての規律や責任を意識しなければなりません。

正直、一般人としての自由を謳歌できるのはこれが最後のタイミングです。

頑張った自分へのご褒美ですから、おいしいものを食べに行ったり、旅行に出かけてもいいでしょう。お金に余裕がある方は、海外旅行など特にオススメです。

もちろん、ハメを外しすぎるのは良くありませんが、採用後に何も思い残すことがないように、できるだけ精一杯遊んでおきましょう。

入校準備は計画的に

採用時期が決定したら、消防本部から「入校のしおり」的な資料が送付されてきます。

入校に際して必要となる生活用品や、入校当日の服装・髪型など、かなり細かく指定されますので、送付されてきた案内に沿って準備を進めましょう。

なお東京消防庁の場合、入校時に持参する物品は数十種類あります。しかも、それぞれの持ち物について色や形・製品名など、かなり細かく指定される場合もあるので、入校直前に準備を始めたのでは正直手遅れです。

入校初日に忘れ物があると教官にメチャクチャ怒られますので、なるべく余裕を持って準備を進めて、万全のコンディションで入校当日を迎えましょう。

まとめ

ということで、今回は消防官採用試験に独学合格する基本的な流れを紹介しました。

消防官採用試験は対策すべき試験範囲が広く、独学するとなると途方に暮れてしまいがちですが、合格までの手順をひとつずつ整理していくと、案外やるべきことはシンプルだったりします。

今回紹介した独学スタイルを参考にしつつ、ぜひ消防官採用試験の合格を手にしてください。

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